Ludlow Castle - ルドロウ・キャッスル -でおこる素敵な出来事
no spring chicken


ん・・いい香り

あれ?
もしかして、ファーストフラッシュ?

へぇ、もう今年の春摘みが届いたんだ


ふぅん・・
そっかぁ、そんな時期なんだ・・世間は・・



ねぇ、タバサ
僕はさ、春が大好きなんだ


窓から差し込む柔らかな光と
甘い香りを運んでくれる春風
そして、心地良く響く小鳥達の囀り


ほら、絶好のお昼寝日和!



なのに、見てよ!


この堆く積まれた本の山!

いつか崩れてくるんじゃないかと思うと
おちおち勉強すらできやしない

哀れ僕はこの分厚い本の山に埋もれて
儚くもこの世を去るんだ・・

そうしたら、泣いてくれる?



でもさあ
これが一週間分だっていうんだから
笑っちゃうよね


こんなに脳に詰め込んだところで、
古いものがポロポロと毀れ落ちて
結局身にならないって

あの執事は考えないのかなぁ?


ああ
もう、やめ、やめ!


せっかくだから
みんなを集めて
外でティーパーティーをしようよ!


準備はマーカスにみつからないよう
こっそり頼むよ

ね、タバサ
サディ | comments(14)
泰然自若


見慣れた封筒
裏返すと厳かな「W」の文字の封蝋

名門ウェントワースの校長から
定期的に届けられる手紙


内容は見なくてもわかっている


どうせ、またあのお転婆娘の事だ――



それでも最近は来る回数が多少減ったと
喜ぶべきなのだろう


伝統ある女子校ウェントワースを預かる
ミス・クレメンツは少しばかり神経質すぎる


やはりヘイスティングスのミスター・エリスンに
預かっていただくべきだったのだ


聞くところによると
叔父がお仕えしているマイケル様も
ヘイスティングスに編入するという


なのに何故か我が主も叔父も
この件については強く反対をした


ルイーザ様とマイケル様――
二人を一緒にしてはいけない理由が
あるのだろうか


まあいい
瑣末な事だ


皆の期待を一身に背負っておいでだった
次期当主・レオナルド様が
この屋敷を去られた以上


残るは――



あのボンクラ・・・

いや、次期当主であらせられる
サディアス様の教育を今以上に
しっかり行わなくては


そう・・
それが私の


ハウエル伯爵家執事の責任なのだから
マーカス | comments(0)
思い出をつなぐ糸


こんにちは、ジルです。


ルゥ様、レオ様のお部屋の整理もととのい
お2人のお部屋は随分と寂しくなりました。


レオ様は、もうこちらには戻られないとの事・・・


ああ、神様!!


せめて、この先のレオ様とお母様 お二人の生活が
少しでも明るく、穏やかなものになりますように。


レオ様とお嬢様のお部屋は、私達がこれからも
毎日綺麗にお掃除させていただきますからね。


そういえば・・・


先程のお掃除で、レオ様の机の中から
可愛らしいリボンを見つけたんです。


プレゼントに付いていたリボンでしょうか?
よく見ると、メッセージが書いてあるんです。


「I'm for you, always」


真っ白なリボン。
恐らく、送り主は・・・


最後に残されたサブテーブルに白百合を飾り
そっ とリボンを結わえて部屋を後にしました。

 
ジル | comments(0)
胸騒ぎは広がって…


チリリン…
澄んだベルの音が響いた。

はい。お呼びでしょうか?

「サディを。サディアスを呼んでくれないか」


心なしか、少し沈んだ表情の旦那様。
机に広げられている手紙は…
ひょっとしてレオ様から…?


かしこまりました。
すぐにお連れします。


「それから…レオナルドの部屋の整理を…
 荷物は彼の母の元へ送ってやってくれ」

確かに、慌てて出立したレオ様は
身の回りの物をほとんど持っていきませんでしたしね。
きっと不便な思いをしていることでしょう。


はい。そちらもすぐに…
失礼いたします。


退室しようとした私の背後で
旦那様が溜息をつくのが聞こえました。

デボラ様の病状が、あまり良くないのでしょうか?
サディ様にお話というのは、ひょっとして…

その時の胸騒ぎが、的中したことを知ったのは
それからしばらくしてのことでした。



屋敷中の使用人達が呼ばれ、
マーカスさんから報告がされました。

レオ様が、ミシェル様との婚約を破棄されたこと――

それは、ひょっとして…
お屋敷に戻ることがないかもしれないということですか?

レオ様をお慕いする者はたくさんいて
次期当主としてお仕え出来るのを喜んでいた者達にとって
その報せはとてもショックだったようです。
パピヨンも、きっと今頃騒然としていることでしょう。

そして、旦那様はサディ様を次期当主に決められたこと――

ルドロウ・キャッスルに
また大きな転機が訪れようとしているのでしょうか…?
マオ | comments(0)
responsibility



相変わらず、整った 綺麗な文字を書くんだね・・・



デボラの元にいる、レオからの手紙。



それでも、筆をとる手は震えていたのであろうことが

ありありと目に浮かぶよ。



内容は、ラ・レーヴ・デ・パピヨンのミシェル嬢との婚約を

正式に破棄させてほしい、というもの・・・



ルドロウに届いたこの手紙のほかにも、

きっと彼女にも同じ内容の文を送ったのだろう。



ただ、こちらには 彼女の先を案ずる心情と

合わせる顔もないが、どうか幸せにという

苦しい胸の内が、素直に書かれていた・・・



安心していい。

・・・二人に過酷な運命を背負わせたのは、私だ。

出来ること全てを、するつもりだよ。




・・・君の心の中に比べれば、こんな胸の痛みは比べるほどでもないのだろう。

けれど・・・




目を背けたくなるような現実を振り切るように、ベルを鳴らした。


すぐにメイドのマオーが顔を出す。





「サディを。サディアスを呼んでくれないか」

 
 
 
 
チャールズ | comments(0)
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