Ludlow Castle - ルドロウ・キャッスル -でおこる素敵な出来事
月語り


楽しく、懐かしく・・・
そして、思いがけない出来事の
連続だった日々が終わろうとしています。

執事のマシュー殿にお願いをして
ポットに珈琲を用意してもらいました。
部屋の明かりをすべて消し
ゆっくりと安楽椅子に腰を落ち着かせ
珈琲の香りを楽しんでいます。
部屋に入ってくるのは、蒼い月明かり
柄にも無く、その月に向かって
今までの出来事を語りたいと思いました。



チャールズは相変わらずであり
その息災ぶりには安心したものです。
ロブの時のような思いはしたくありません。

そしてそのチャールズの口から出た言葉・・・
自らの隠居とルドロウキャッスル次期当主の話。

本当にいつも急に思い出したかのように話しをする男です。

理由は・・・結局教えてもらえませんでした。
あの優雅と評される笑顔を向けるばかりです。


では、誰に跡を継がせる気なのか・・・
一般論でいうなれば、長男のロミオだろうと思ったのですが
彼は今、自分の力で自らの人生に果敢に挑んでいるところであり
その意思はチャールズも酌んでやりたいとの事

であるならば、継承権上でいうとサディアスになるのですが・・・
彼はまだ若い。これからもっといろんな経験をしなくてはならない。
ということらしい。

冗談交じりに、ルイーザの名前をあげるも・・・
一言も言葉を発せず、優雅な笑みを浮かべるも
目が鋭く笑っていないチャールズがそこにはいました。
冗談が過ぎたようですね。

とするならば、残るはレオナルドという事になります。
出自の事など、まったく意に介さない彼らしい事です。


しかし、その時はある疑問が残りました。
既に自分で決めているのであるならば
なぜ私を呼んだのか・・・
ただ、懐かしい思い出話をしたい為だけとは思いませんでした。

そして、答えはすぐにわかりました。
レオナルドを次期当主に指名するにあたり
レオナルドを結婚させたい・・ということらしい。
良い淑女はいないものだろうか?と彼は言いました。

しかし・・・
自らも自分の相手は、どんな壁をも乗り越えてきた男が
自分の息子のことになると、悩むものなのでしょうか?
しかも、結婚もしていない私に相談を持ち込むとは・・・
よほど難しい問題とでも思ったようですね。
彼が厄介だと思うものを持ち込むのは
もはや自然な事なのですから。


彼が難しいと考えている事、その答えを
私はたまたま知りえていました。
そして、その内容についてチャールズはまだ知らないという事実を
私は理解したのです。



私の口から言うべきなのか・・・
時間が限られている中で、その判断はとても難しいものでした。


「月よ・・・私の行った行動は、本当に正しかったのだろうか??」


月は神話の世界においても女性を象徴していることが多くあります。
そして今日見上げている月に、あの方の顔が浮かびました。


「ミシェル様・・・」


冷めてきた珈琲を注ぎ足し
あの時のチャールズの表情を思い浮かべます。
彼が本当に驚いた時にだけ見せる表情がそこにはありました。



そう・・・
レオナルド様とミシェル様は
お互いに相手を想いやる、想い人同士である事。
そしてミシェル様は既に、意を決せられているという事。


この事を私はチャールズに包み隠さず伝えました。
その時の私は、驚くほどの饒舌だったと
後でチャールズに笑われたものです。
きっと・・・ロブが力を貸してくれたからでしょう。
彼女の父親は、この二人を祝福している。
そう思わざるをえません。

そして、その想いを伝えるのは、自分の役目であると思いました。
チャールズを説得する・・・と言うよりは
それがあくまで自然であり、人が人としてあるがままに生きる
本来の道であることを伝えたつもりです。


こんな時にある人の顔が浮かんだものです。
ガスパール先輩。
私やチャールズの先輩でありよき相談者
そして何より、ヴェルニエ伯爵家当主の顔を・・・
先輩なら、どうやってこの想いを伝えるかと、
今度会うときにでも聞いてみたいものです。


思案に耽っていたチャールズは
徐に呼び鈴を鳴らし、一人の人物を呼びました。
そう、レオナルド様を。
どうやら、彼の意思を確認したいようです。
そしてチャールズが父親の顔になっているのを
初めて見る事ができました。

時間もかからず、チャールズの書斎には
チャールズ、レオナルド、そして私の三人が揃うこととなったのです。
立場があるため、私は席を辞そうとしましたが
チャールズの「ロバートの代わりにいてくれ」という一言で
残る事となったのです。

チャールズの問いかけに、淡々と答えるレオナルド。
その姿は、次期当主としてふさわしいものであったと
私は満足しました。
そして、それはチャールズにも伝わったと確信もいたしました。
レオナルドを下がらせるときの、肩に手を置いたチャールズ
次の瞬間には、いつものあの笑みを浮かべる彼がそこにはいました。


君の心も決まったようだね。チャールズ。




今回の来訪は、とても満足のいくものであったと思います。
事が事だけに、まだ話をする段階ではありませんが
この事を独り心の底においておくなど
とても勿体無いような気がしてなりません。



「月よ・・・二人に祝福を、そして進むべき道に、可憐な華を添えてくれ」




明日はいよいよ、ルドロウ・キャッスルを出発します。





執事・アルマン | comments(0)
いつの時代も、友とはいいものです。


ご無沙汰をいたしております、ハウエル様。
ルイーザ様の誕生パーティー以来でしたか
あの時は、ご挨拶も出来ず申し訳ございませんでした。


は?確かに、今ここには
あなた様と私のみですが・・・


そうですか・・・わかりました。


チャールズ
37分40秒。
私がこの城に着いてからの時間だ。
君は、まだこんなに人を待たせているのかい?

ふふふ・・・はははは!


懐かしいなこの感じも、そしてこの紅茶も。


悪戯小僧というのは、ある意味失礼だな
私にとって仕えるべき主なのだぞ?
それに、先の読める悪戯は、良いスキンシップだと思わないかい?


とはいっても・・君の変らなさぶりは、ある意味、賞賛に値するがね・・
遅刻魔なのは、相変わらずか。



さて、人が来ないうちに、本題に入ろうか。
今という時間は、黄金の山より貴重だ。
私を呼んだ以上、人には聞かせられない内容なんだろ?
チャールズ。

執事・アルマン | comments(0)
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