Ludlow Castle - ルドロウ・キャッスル -でおこる素敵な出来事
目に見えない真実


 昨日の事だ。

久し振りにタリアとワインを飲んでいた時の事。
私も若干酔いが回っていた事もあり、意を決して聞いてみようと思ったのだ。

「タリア、この間の…クリス様の事なんですが…」

ワインのせいか顔を赤らめながらタリアはこう言う。

「クリストファー様がどうかなさいましたか?」

「その…なんでしょう…いつ頃からお話をしているのでしょう?」

「お屋敷に来た時からです、クリス様ったら私の事をお気に召してくださいまして」

「そ、そうでしたか…それで私の事は何か言っていますか…?」

「ドゥエインさんの事ですか?それでしたら今聞いてみましょうか?」

「!!??」

「クリス様、ドゥエインさんの事はどのようにお考えでしょうか?」

微笑むように虚空を見つめながら言葉を繋ぐタリア。

「ま、待ってください…もしかしてその…今もクリス様はいらっしゃるのですか…?」

「ええ、先ほどからずっとご一緒してくださってますよ、今も楽しそうにそちらに…
 あら、そういえばドゥエインさんがワインを選びに行っている時はお見かけしませんでしたけど…」

セラーでワインを選んでいる時。
えもいわれぬ気配を感じていた。
まさか…

「え…ああ、そうだったのですね…あら、それはそれは…いいえ、私はこちらの方が好みです」

「あの…もしかして…セラーに?」

「ええ、そのようですね、ドゥエインさんが上等なワインに手を出そうとしてたから
 ちょっと脅かしてやったんだ、と笑っておられますよ」

久し振りだった、と言う事もあり少し良いものを頂こうと手を伸ばしたのだが…
絶対的に音など出ないであろう地下から不可思議な音が聞こえたのだ。

「は、ははは…もうそろそろ戯れはこの辺にしておきましょう。
 タリア、私をからかうのはやめてください」

平静を装うも手汗でグラスを持つ手が滑る。
先程までのほろ酔いは気づかぬうちに彼方へいっていた。

「はい?ドゥエインさん、私はふざけてなんていませんよ、ねぇクリス様?」

タリアが再度空を見つめる。
私も彼女の視線を追ってみると…『そこ』は空間が歪んでいるように見えた。
きっと酔っているのだろうと、何度も目を擦るも確かに『そこ』は異質な状態だった。

「タ、タリア…私はそろそろ寝室に戻ります、貴女も程々にして明日に控えてください」

上擦る声でタリアにそう告げ、部屋を後にした。
誰もいるはずのないこの廊下にまた何かの気配を感じる。
…恐る恐る後ろを振り向くと。

『ドゥエイン、あれは飲んじゃいけないよ。
 あのワインが高いの知ってるでしょ?身分を弁えなよ、アハハッ!』

そこからの記憶はない。
だがこれではっきりした事が一つある。

確実に私の知らない世界が存在する、それだけは間違いない。
目に見える事だけが真実とは限らないという事。

良い教訓になった、しかし…
クリストファー様、今後あの様な形での接触はお控えくださいますようお願い致します。

私の心の臓がいくつあっても足りなくなってしまいますから…

執事・ドゥエイン | -
手記
 

まったく…あいつらはフットマンをなんだと思っているんだ!

ノーマンもメルもなぜあんなに軽いのか…
メルに至ってはお客様の前に出るな!と釘を刺しておいたにも関わらず、
館内をうろうろしてあっちへチャラチャラこっちへチャラチャラ…

ああ、思い返しただけでも腹立たしい!!

次のパーティまで間もないと言うのに、自覚があるのだろうか。

しかし…私がこんな愚痴を書きとめているのだけは知られないようにしなければな。
特にノーマンになど知れ渡ったら…考えただけでも身の毛もよだつ。

身の毛もよだつと言えば…最近のタリアの様子がおかしい。
前から空に向かい誰か?と喋っているところは見かけた事があるのだが、
さらに輪をかけて酷くなった気がする。

…そういえば、私も誰かにずっと見られているような気配を感じる事が増えた。

明日、工房の人間を呼んで肖像画の清掃を頼んでみるか…

執事・ドゥエイン | -
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