Ludlow Castle - ルドロウ・キャッスル -でおこる素敵な出来事
犬のつちのこ


ふぁぁ〜っ、今日もいい天気だなぁ〜っ。


すっかり高くなった空に向かって大〜きく深呼吸。
吸い込む空気も、先月とはずいぶん違う香りになった。

…とは言っても、このバラ園だけはいつもと変わらない香りなんだけどね。


朝の爽やかな空気をたっぷり吸い込みながら軽く散歩をしていると、茂みから一匹の犬がピスピスと鼻を鳴らしてやって来た。

「おはよう、つちのこ。」

つちのこは、メルが買い出しの途中で拾ってきた犬。
最初は泥だらけでボロボロだったけど、洗ってやるとこれがなかなかどうして立派な毛並みをしていて、
おまけにいつもバラ園にいるもんだから、ほのかにバラの匂いが染み付いている。


僕が挨拶したのが分かったのか、つちのこはその場おすわりをしてクゥン、と鳴いてみせた。

おっ、よ〜しよし、賢いじゃないか。
こりゃメルより賢いな。絶対。




ところで、つちのこには変な癖がある。
時に、何もない場所に向かって勢い良く吠え始めるんだ。


昨日も、突然吠え始めた時に、


『どうしたの?…まぁっ!ダメよ!』


騒ぎを聞き付けて飛んできたのはタリア。
慌ててタリアがつちのこに顔を突き付けて止めさせたんだ。


『ダメよ、クリス様はちょっぴりイタズラ好きかもしれないけど、クリス様に向かって吠えてはダメ。同じ家族なのよ?』

つちのこの頭に手をやったまま、ゆっくりとした口調でつちのこを諭していて、つちのこも反省したのか、クゥンと鳴いてタリアの顔をペロリ。


『そう、いいコね。………クリス様、あまりからかってはいけませんよ!』


柔らかな微笑みから急にピシャリとした口調に変えた後、タリアは館へと戻っていった。




…う〜ん、クリス様って…、何だったんだろう?


従僕・ノーマン | -
紅く色づく私の頬は


 新学期が始まり、お嬢様たちはまた学園へと戻られていった。

あの賑やかだった日々が少しだけ懐かしいなぁ。


ようやく赤みの取れてきた自分の頬が朝のひんやりとした空気に触れる。

指で頬を押してみると、まだほんの少しだけ、痛かった。



あのパーティーの日、

うっかりエミーが着替えをしているところに遭遇してしまって…。

何も言わずにエミーは僕を殴った。


もちろん、僕だって自分の左頬側、つまりエミーの右手側を守ったよ。

…まさか左利きとは計算外だったんだ。


しかもその後、どこから話を聞きつけたんだか、リネットにまで殴られて。

ものすごく怒った顔をして歩いてくるもんだから、どうかしたの?って声を掛けた瞬間、

バチーン。

「…最っ低。」

だってさ。


おかげで僕の顔は両方ともパンパンに腫れ上がって、

オマケにくっきりと真っ赤な手の形がふたつ。これじゃ、格好も付かないよね。

まぁ、パーティーの後に帰ってきたメルだけは、

「あっれ〜?ノーマン、どうしたっスかそのビンタ跡?やるねぇ〜、ヒュウ〜!」

( ´艸`)(爆笑)

って茶化してくれたけど。



さて、お嬢様たちは居なくなっちゃたし、メイド達は冷たいし、

買い物ついでに街の可愛い女の子たちとお茶でもしてこよっかな〜。



…あぁ!デボラ、おつかいなら僕が行くよ!

ん?大丈夫、大丈夫!任せとけって!それじゃ、行ってきま〜す!!


従僕・ノーマン | -
忍び寄るピンク


…はぁ、やっとひと息付けたぁ〜っ。


先日の晩餐会以降、やたらと皆、僕が休んでないか厳しくチェックするようになっちゃって…、

今朝も早い時間から寝室の掃除やらクロスのセットやら、それってメイドの仕事じゃ…ってことまで頼まれて、

ようやく全部終わったと思ったら次は中庭のバラに水やり。

でも、ここなら誰の目にも触れないし、のんびり作業していても誰も気付かないよなっと。



それにしても、いつ見てもルドロウ・キャッスルのバラは見事だなぁ〜。

どれも細やかに手入れがされていて、配色もカンペキ。

見渡す限りに赤、白、ピンクの色とりどりなバラが……あれ?

あそこだけやたらとピンクが集まってる?



不思議に思いながら水やりをしていると、そのピンクの塊が軽やかなステップを踏みながら徐々にこっちに近付いてきた。

「私ぃ〜はこの世〜で一番!美しいと言われ〜た嬲(読み方:オトメ)♪世界〜の誰よ〜り美〜しく〜♪羽〜を広げ舞うのぉっ♪」

…人だ!いや、…人、か?

内巻きボブのブロンド髪に、眼が痛いほどショッキングピンクのワンピース。

ふとすると可愛らしい女性の出で立ちに見えそうなそれとは対照的に、ハッとするくらいの青い瞳と…青い、ヒゲ剃り跡。

「あら?貴方、見ない顔ね。新しい使用人さんかしら?」

不思議な人に話しかけられてしまった…。

え、えぇ、まぁ…。

「あたくし、ウェントワース女学院の教師よ。貴方のところのマーガレットとイザベルのセ・ン・セ・イ♪」

そう言って彼女(…彼?)は僕の手にそっと自分の手を重ねた。

「伝えてくれる?ルイ=マリー・デフロッテ・ロワイエが愛しのチャールズに会いに来たわよって。」

手に持ったバラの花を指でくるくると回しながら告げると、今度は突然鏡を取り出し、化粧直しを始めた。



ルイ=マリー・デフロッテ・ロワイエ…。

確かに、マーガレット様からそんな名前を聞いたことがあります。

確か…、

『ウェントワースには、"すごく変わってる先生"がいてね、ムッシュ=ロワイエって言うんだけど…』

「あらぁ!マーガレットがあたくしのことを、乙女心を"すごく分かってる先生"ですって!?」

いえ…言ってないです。

あとは…、

『私はすごく面白い先生だと思うんだけど、イザベルは"だいぶ無視"しているわ…。』

「まぁっ!!イザベルが"ライバル視"してるですって!?そりゃあ確かに、あたくしとイザベルはヴェルニエ先輩を巡っての恋のライバルではあるけれど…そうなのねぇ、イザベルったら…♪」

これが噂のムッシュ=ロワイエ…、確かに手の付けようがない…。

「やだぁ、いいのよぉ!あたくしのことを"手の届かない"存在だなんて言ってくれなくても!さぁっ、そうと分かったら早速イザベルに宣戦布告といくわよ〜っ!!ヴェルニエ先輩は渡さないんだからっ!!!」

急に生き生きし始めたロワイエに力強く腕を抱え込まれた。男の力強さとは裏腹なコロンの強烈な香りに頭がくらっとする。

だめだ…逃げなきゃ…!誰か…!!

「…。」

アーネスト は ようすを みている。

あっ!旦那様!!旦那様っ、助けっ…!!!

「…。」

アーネスト は にげだした!

だ、旦那様ぁ〜〜〜っ!!!

逃げる気力を失った僕を引きずりながら、意気揚々とロワイエは館の中を駆けまわるのであった。

せめて…お嬢様…逃げて……。

***** 一方その頃 *****

「ねぇ、イザベル?さっきから何か、聞こえない?」

「さぁ。気のせいじゃない?」

従僕・ノーマン | -
ノーマン、サボり中





 「すみません、今日はこれから予定が・・・。」

そう言ってデボラは深々と頭を下げた。



あ〜あ、今日はこれで5連敗。みんな忙しいんだなぁ。


タリアにアリスン、リネットにシェーラ、そしてデボラ。

仕事の合間を縫って、ちょっとだけ優雅なティータイムでもしようかとみんなに声を掛けてるけど、今日は特にダメだなぁ。


アリスンに至っては、

「良いけど…、一秒いくら?」

な〜んて右手を差し出してきたけど、そんな冗談でもいいから付き合って欲しかったなぁ。


「となると…、あとはエミーかぁ。」

中庭を抜けてふらふらとエミーを探しに歩くと、ふと、ダージリンの香りが漂ってきた。

「この香り、チャールズ様かぁ。いいなぁ・・・。」

部屋からこれだけ離れていてるのに香ってくる、最高級ならではの極上の香り。

いっそのこと、紅茶とお菓子目当てでチャールズ様を誘ってみようか、なんて考えが頭をよぎる。

いや、やっぱり一緒に過ごすなら女の子の方がいい。
そう思ってまたふらふらと歩き始めると…、

「ノーマン、ちょっと!」

あ。執事のドゥエインさんの声。(しかも若干怒り気味)


サボってるのがバレたかな、それとも・・・。

やだなぁ、と思いながら渾身の作り笑いを浮かべた。

「え?あぁ、どうしました?ドゥエインさん。」


僕はノーマン・パーシバル・タワーズ。

この世で一番、軽いと言われた男。

従僕・ノーマン | -
1/1



CALENDAR
S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< January 2018 >>
NEW ENTRY

PROFILE

CATEGORY

ARCHIVES

LINK

OTHER
qrcode
  • Admin
  • RSS1.0
  • Atom0.3






  • (C) 2018 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.Photo by Satie Design by Tea