Ludlow Castle - ルドロウ・キャッスル -でおこる素敵な出来事
I am not aware


 走った。

頬に流れるはずの涙は、私が走った後に遅れて落ちた。

サロンへもホールへも
どこへも戻りたくない。

誰とも、今は会いたくない。

だってこんな顔を見せたら
お父様やお母様、イザベルや、使用人のみんなが心配してしまう。

悲しませてしまう。



あの場所から
あの人から離れるように、
ルドロウ・キャッスルの廊下を走った。

まだ頭の中で反響する、たくさんの言葉。

『この恵まれた環境は、きみが自らの力で手に入れたものじゃない。全て、きみの両親が与えてくれたものだ』
『覚悟があるんだったら、なぜ自分の足で歩こうとしない?なぜ誰かに頼ろうとする?なぜ誰かが連れ去ってくれるのを待ってい

るんだ?』
『結局、自分を安全なところに置いて、ちょっと冒険してみたいなんて夢みてるだけ。そうだろう ――?』

わかってる
わかってるわ

全部わかってるのに…



ドレスが絡まって、足がもつれる。
大理石を蹴るハイヒールは頼りない。
コサージュがはらはらと崩れていく。

これらすべてが、
私の枷になってるっていうの?

すべて捨ててしまえば、
もっと前に進めるの?



誰か教えて

長女・マーガレット | -
Free Dove


穏やかな朝。
窓から差し込む柔らかな朝日は、昨日の嫌なことを忘れさせてくれる。

暖かなベッド、毎日香りの異なるモーニングティー、華やかなドレス。
どれもこれも色鮮やかで、そばにあるだけで、身に着けるだけで充実感が湧いてくる。

優しい家族と、使用人たちに囲まれて過ごす毎日には
不満や不自由なんてどこにもなくて、
そんなことにすら気付かない程幸せを感じている。

それから、
準備されていた、素敵な結婚。

お父様が紹介してくださった完璧な婚約者。
保障されている円満で豊潤な未来。

これが最善の選択、
ずっとそう思っていた。

それは理想なのかもしれない。
誰もが憧れる結婚なのかもしれない。

けれど、
轍がいつの間にか、煩わしくなっていた。

これは、本当に私の意思?

これが幸せ?
これを手に入れてることで、私は満足できるの?

本当は、心の奥底では、
もっと別の場所に幸せがある、
なんて無邪気に信じているのかもしれない。



ねぇ、あなた
私を連れ去って

ずっと遠くまで

長女・マーガレット | -
思いを馳せて


 あら?
あそこにいるのは、アンディかしら。

ふふ・・・なんだかとっても楽しそう。

「なにか嬉しいことでもあったの、アンディ」
「わ、マーガレットお嬢様!」

アンディが手に持っていたのは、今月開催されるパーティの招待客のリスト。
執事のドゥエインに届けに行く途中だったみたい。

そのリストを見せてもらうと・・・


そうそうたる顔ぶれが並ぶ中、
まぁ、アルマンお兄様に、ガスパールお兄様のお名前が!

アルマンお兄様といえば、ルドロウ・キャッスルへ遊びにいらっしゃる度に
ロバートお兄様のいたずらに手を焼くお姿しか見ていないけれど・・・
今回も賑やかになるのかしら。

ガスパールお兄様は近頃お忙しいみたいで、
なかなか会うことができないからイサベルはやきもきしているみたい。

先日の晩餐会でのドレスも、久しぶりにガスパールお兄様に会えるから、
っていう理由で新調したみたいだけれど・・・。
結局ガスパールお兄様はお見えにならなくて、イザベルがすこしかわいそうだったわ・・・。
今月のパーティには、きっともっと素敵なドレスを用意してくるんでしょうね!

あら・・・?
もう一人、見慣れているけれど、珍しいお名前。

そう・・・
アルフレッドお兄様もいらっしゃるのね。

どんなパーティになるのかしら?
私も、久しぶりにお兄様たちに会えるのがとっても楽しみだわ!


「ありがとう、アンディ。準備もよろしくね」
「はい!」

アンディの明るい笑顔に見送られ、その場を後にする。
さてお兄様たちに会ったら、どんなお話をしましょう!



あら、遠くからエスターが私を呼ぶ声が聞こえる。

確か・・・
結婚披露パーティで着るドレスのための採寸がまだ済んでなかったわ。

「エスター、私はここよ。すぐ行くわ」

長女・マーガレット | -
1/1



CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< July 2018 >>
NEW ENTRY

PROFILE

CATEGORY

ARCHIVES

LINK

OTHER
qrcode
  • Admin
  • RSS1.0
  • Atom0.3






  • (C) 2018 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.Photo by Satie Design by Tea